ハドリアヌス帝の回想5ー鶏口牛後
五賢帝の一人に数えられるハドリアヌス帝ですが、
皇帝の地位につくまでのあいだには胸中さまざまな葛藤があったことが綴られています。
それでも鶏口牛後の精神で皇帝の地位にたどり着きました。
César avait raison de préférer la première place dans un village à la seconde à Rome. Non par ambition, ou par vaine gloire mais parce que juste l’homme placé en second n’a le choix qu’entre les dangers de l’obéissance, ceux de la révolte, et ceux, plus graves, du compromis
カエサルが、ローマで第二の地位を得るよりは寒村で第一位であるほうがよい、といったのはもっともなことだった。それは野心からでもなく、空しい栄誉を欲するからでもなく、第二番目の地位にある者は、服従か反逆かあるいはもっとも深刻なものである妥協か、この三つの危険のいずれかを選ぶしか術がないからである。
Marguerite Yourcenar, Mémoires d’Hadrien(『ハドリアヌス帝の回想』 多田智満子訳)
新しい技術やアイデアを携えたベンチャー企業が誕生する土壌が日本でもようやく育まれつつある昨今、
多くの人がどのような形からでもトップの地位につくことのできる機会が増えているように思います。
鶏のくちばしのような小さなところでも第一番目の地位について頑張る人が、
やがて大きく羽ばたけるよう支援する制度の整った社会が広がることを願っています。
池井戸潤さんが書かれた『下町ロケット』は、本でもドラマでも話題になりましたが、
ここで書かれた佃製作所のように高い技術力を誇る小さな会社はまだまだ日本にたくさんあります。
国際化の波や大企業からのプレッシャー、後継者不足など様々な問題にいきあたり、
日々奮闘しているところも多いと思いますが、同じように応援していきたい人々です。