ハドリアヌス帝の回想2ー テルマエ・ロマエ
はやくも硬い文章に疲れてきました…。頭を柔らかくしようと思って、
久しぶりに取り出したヤマザキマリさんの『テルマエ・ロマエ』。
ふだんマンガは滅多に読まないのですが、こちらは本屋で見た瞬間、
石膏デッサンが描かれたような表紙に惹かれて購入しました。
ギリシャ彫刻のようなモノクロの人物画にワンポイントでカラーが入ってなんともカッコイイ。
本棚の飾り物としても買っただけですでに達成感がありましたが、
中身のストーリーは繰り返し読んでも笑ってしまい、
コラムには豆知識の再発見があってとても満足です。
今回あらためて手に取る機会があったことに感謝。
ちなみに公衆浴場をこよなく愛したハドリアヌス帝ですが、ここでの混浴を禁止したのもこの皇帝です。
La morale est une convention privée: la décence est affaire publique: toute licence trop visible m’a toujours fait l’effet d’un étalage de mauvais aloi. J’interdis les bains mixtes, casue de rixes presque continuelles; je fis fondre et rentrer dans les caisses de l’État le colossal service de vaisselle plate commendé par la goinfrerie de Vitellius.
道徳は私的な慣例であり、礼儀は公の関心事である。あまり目立ちすぎる放縦はいずれも安ぴかものの見せびらかしのごとき印象を私に与えた。私はほとんど絶え間ない刃傷沙汰の原因である混浴を禁止し、ウィテリウスの暴飲暴食のために作られた巨大な銀の食器ひとそろいを鋳つぶさせて国庫にもどした。
Marguerite Yourcenar, Mémoires d’Hadrien(『ハドリアヌス帝の回想』 多田智満子訳)
旅と芸術を愛し耽美的・享楽的な一面をもつとともに、
伝統主義者的でストイックな一面も諸処にうかがわせるハドリアヌス帝の二面性は、
それこそが魅力と惹かれるものの、ときとして私の頭は混乱してしまいます。