難病をお持ちの方々の「はたらく」を応援します!

✎ 難病とともに生きる方々へ ✐
働いてみませんか?
チャレンジする人を応援します。

「難病」という言葉は、ニュースや日常生活のなかで
ときおり耳にすることがあるものではないかと思います。
そこには一般的に、重たくて治りにくい病気、日常生活に大きな支障をきたす病気、
というイメージがあるかもしれません。
実際、大変な闘病生活をされている方は多くいらっしゃいます。
しかしその一方、難病医療が進歩してきたことや社会制度が整備されてきたことによって、
適切な疾病管理を行いながら自立して働いている方も多くいらっしゃるようになっています。

ここでは難病について、あらためてその現状を確認するとともに、
難病とともに生きる方々のより快適な日々の生活、
そして難病を持ちながらも働くことを希望する方々のために、
少しでもお役に立てるような情報をご紹介していきたいと思います。

🌱 難病とは

「難病」という言葉は、医学的に明確に定義された固有の病気を指す名称ではありません。
国が定めた特定の条件を満たす疾病の総称であり、
2015年1月1日に施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」において、
以下のように規定されています。

「難病」とは、

1)発病の機構が明らかでなく、
2)治療方法が確立していない、
3)希少な疾患であって、
4)長期の療養を必要とするもの、

また「指定難病」には、さらに以下2つの条件が加わり、

5)患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1パーセント程度)に達しないこと
6)客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること

となります。

2019年7月からは333疾病が「指定難病」となりました。
2018年度末時点での指定難病患者数(特定疾患医療費受給者証所持者数)は約91.3万人。
対象となる疾病数は厚生科学審議会・疾病対策部会の指定難病検討委員会で検討されるたびに増え、
罹患者の数も増加傾向にあります。

Chart by Visualizer

Chart by Visualizer
(平成30年度衛生行政報告例よりグラフ作成)

🌱 生活と就労

ただし、ひと言で「難病」といってもその症状は様々です。
長期の入院や自宅療養が必要な方はもちろん多くいらっしゃいますが、
その一方で、難病医療の進歩により、完治はしないまでも服薬等で普通の生活ができる方も増え、
適切な疾病管理を行いながら、特別な支援を必要とせず自立して働いている方も多くなりました。
国としても法制度の整備などにより難病のある方々の暮らしと就労機会の改善に向けて
積極的に取り組んでいます。

平成30年度末現在、難病をお持ちの方の61%は20歳代から60歳代と、
働き盛りの年代でいらっしゃいます。

Chart by Visualizer
(平成30年度衛生行政報告例よりグラフ作成)

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の作成資料によれば、
難病医療費助成の受給者証を持っていない方(≒軽症者)で、
現在働いていない患者の方の6割以上の方が「仕事をしたいと思っている」とのこと。

以下では、難病のある方々が「働いてみようかな」、「働けるかな」と思ったときに、
お役に立てるのではないかと思われる組織、資料および情報サイトをご紹介いたします。
就労に限らず、なにかで社会参加をするときのヒントになるものもあるかもしれません。
ぜひ一度ご覧ください。

<「働こうかな」と考えたときの参考情報>

◆健康管理と職業生活の両立ワークブック〜難病編〜
厚生労働行政推進調査事業費補助金(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)
「難病患者の 地域支援体制に関する研究」班(研究代表者 西澤正豊)作成最初の部分で、
自分の健康状態や働くことを希望する理由、職場で必要な配慮、さらには人生の目標まで、
いろいろなことを書き込める様式になっているので、
頭の中で考えていることを書き出して整理してみるのにも役立ちます。

◆難病のある人のための職業生活ガイドブック
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター作成
難病についての事実に関し、その理解の正誤を◯✕で対比したかたちで記述しているほか、
素朴な疑問、基本的な疑問をQ&A方式で解説するなど、
とても読みやすくわかりやすく書かれています。

◆難病の方の就労を支援しています
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク作成
障害を持つ方の就労のために、ハローワークの具体的な支援の仕組みが説明されています。
全国47都道府県の難病患者就職サポーター配置安定所の所在地・連絡先が書かれた一覧表もあります。

<就労相談・紹介サービス>

◆地域障害者職業センター(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)
ハローワークと連携した就職に向けての相談、職業能力等の評価、就職前の支援から、
就職後の職場適応のための援助まで、個々の状況に応じた継続的なサービスを提供しています。

◆ハローワークインターネットサービス
専門的な知識をもつ職員・相談員が配置された窓口の案内や支援サービスがあります。

💡 民間にも心強いサポートを提供してくれるところがあります。

◆ 障害者のための就労移行支援事業所 LITALICOワークス

LITALICOワークスは全国80ヶ所以上に事業所があります。
仕事を探すにあたってのご心配やご希望など、障害のある方は、
障害者手帳がない方でも、まずはご相談してみてはいかがでしょうか。
ご相談はウェブサイトから簡単に予約できるようになっています。

◆ 日本初!難病の方専門の就労移行支援【ベネファイ】

民間企業ならではの企業ネットワークや実践的な職業トレーニングプログラムがあります。
グループワークにより、同じ悩みをもった仲間と出会えることもあるかもしれません。
障害者手帳の有無も問いませんのでお気軽に見学やご相談してみるのはいかがでしょうか。

<もっと詳しい情報>

◆厚生労働省
国の難病に関する対策や法律などが公表されています。

◆難病情報センター
公益財団法人難病医学研究財団が運営する組織(厚生労働省補助事業)
病名一覧から医療費助成制度、患者会員情報などさまざまな情報が網羅されています。

◆都道府県・指定都市難病相談支援センター
難病の方々の療養生活の質の維持向上を支援する施設で、都道府県及び指定都市に設置されています。

◆障害者職業総合センター(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
広域・地域障害者職業センターの運営、職業リハビリテーションに関する研究、技法の開発などを行っています。

◆厚生労働省 難病患者の支援体制に関する研究班
難病患者の総合的支援体制に関する研究が行われており、難病患者の医療、療養などに関する
研究班の成果や現在の活動が掲載されています。

🌱 さいごに

国が「働き方改革」において推進しているテーマのひとつであるテレワークをはじめ、
働き方の多様化が進んでいる昨今、働く時間や場所について柔軟に選べる余地も
広がりつつあると思います。
身体への負担で通勤が困難だと思われていた方や、
通院や治療などでフルタイムでの勤務に無理があるため
働くことをあきらめていた方々には、あらたに選択肢が広がっているかもしれません。
また難病と診断されたことをきっかけに仕事を辞められた方々は、
これを契機にもう一度社会復帰の可能性を考えてみるのはいかがでしょうか。
気ままに気が魅かれたものだけでもぜひ覗いてみてください。
なにか新しい発見があるかもしれません!

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